金利9.65%、100年で1万倍になる定期預金が実在した。でもそれでは得られた利益は僅かだった理由を解説します。

独立教科書

こんにちは赤羽です。

上井草すまいる鍼灸整骨院とレンタルサロンsimpleを経営しています。

このブログでは、治療家(鍼灸師・柔整師・あマ指師・PT・OT・整体師など)の収入アップや独立開業に役立つ内容を発信しています。

普段は鍼灸師・柔整師として仕事していますが、実はファイナンシャルプランナー(FP)という資格も所持している、お金の専門家でもあります。

「安心のために貯金しておこう」

そう思っている治療家の方は多いと思います。

私もそう教えられて育ってきました。

ドラえもんのある話には「定期預金なら10年で倍になる。1億円定期預金に入れておけば、もう働かなくて良い」みたいな話がありました。

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でも、ある「100年定期預金」という話を知った時、なんか違和感を感じました。

今日はその話をしながら、私たち治療家がお金とどう向き合うべきかを考えてみます。

100年満期の定期預金が本当にあった

テレビ番組で紹介された話なのですが、明治33年(1900年)に「100年定期預金」という商品が発売されたことがあるそうです。

内容はこうです。

  • 1口 1円
  • 満期は 100年後
  • 満期時の受取額は 1万円

つまり元金が 1万倍 になる計算です。

1万倍になるなんて凄いですよね。

年利に直すと 9%台後半。今の感覚からすると、とんでもない好条件です。

(ちなみに「100年で1万倍」を年利で正確に計算すると 約9.65% になります。番組では9.75%と紹介されていましたが、9.75%で100年運用すると1万倍を超えて約1万1,000倍になるので、計算上は9.65%が正しい数字です)

当時の1円はどれくらいの価値だったのか

「1円が1万円になるだけ?」と思うかもしれません。

でも、当時の1円は今とはまったく価値が違いました。

明治30年代の物価は、こんな感じです。

  • 屋台の甘酒 1銭(0.01円)
  • かけそば 2銭
  • 散髪 15銭
  • 新聞1か月 45銭
  • 警察官の初任給 9円

初任給が9円。つまり1円は、月給の9分の1に相当する金額でした。

今の初任給を仮に20万円とすると、1円は感覚として 2万円以上 の価値があったことになります。

決して「はした金」ではありません。

それを100年間使えないとなると、ちょっとした決断が必要です。

そして100年後、満期の日が来た

この証書、長野県茅野市役所の会計課に 70年間 保管されていたそうです。

そして2000年、ついに満期を迎えます。

番組に登場したのは、代々不動産屋を営む83歳の伊藤さん。お父様から、この証書を 十数枚 受け継いでいました。

当時お父様が十数円で買ったのですね。

1枚1万円ですから、十数枚で 十数万円。

100年待って、十数万円です。

伊藤さんが銀行に問い合わせたときの回答が、すべてを物語っています。

「額面は1万円ですので、換金額は1万円です」

伊藤さんは、この証書を茅野市に寄付されたそうです。

わかりやすくまとめると

調べても具体的な数字はわからなかったのですが、わかりやすくするためにここでは仮に15枚だったとします。

  1. 100年前の1900年にお父さんが15円(現在の価値にすると30万円程・賃金ベース)出して定期預金を契約。
  2. 100年後の2000年に満期を迎え、息子が引き出せたのは15万円

ということです。

補足:当時の15円は、賃金ベースで考えると現在の30万円、物価ベースで考えると現在の4万5千円程です。

確かに15円が15万円になっているので、1万倍にはなりました。

しかしお金の価値で考えると、100年前の30万円(45,000円)の価値だったものが、100年預けておいたら15万円の価値になった。

つまり100年後に受け取った15万円は、物価で見ればかろうじてプラス、賃金で見れば半分に目減りしているということになります。

これについてあなたはどう思いますか?

なぜ1万倍でも足りなかったのか

ここが今日の本題です。

元金が1万倍になったのに、なぜ「大したことない」と感じてしまうのか。

答えは インフレ です。

この100年の間に、日本の物価はこう動きました。

  • 戦中・戦後(1934〜1954年) 消費者物価指数が約 300倍
  • 高度経済成長期(1956〜1972年) 年平均 4.5% 上昇
  • 石油危機(1974年) 単年で 23.2% 上昇

100年トータルで見ると、物価は 3,000倍以上 になったと言われています。

つまり、

お金は1万倍に増えたけれど、物価も3,000倍以上になっていた。

年利9%台後半という、現代では絶対にありえない好条件でさえ、100年のインフレに対してかろうじて上回った程度だったわけです。

では、今の定期預金はどうか

ここで現在に視点を戻して考えてみましょう。

  • 今の定期預金の金利 年0.1〜0.3%程度
  • 今の物価上昇率 年2%前後

例えば100万円を10年間定期預金に入れたとします。(金利0.3%)

10年後に受け取れるのは、約102万4千円(税引き後、税引前は約103万円)です。

増えたのは 2万4千円 です。

10年間、一度も引き出さずに我慢して、2万4千円。

「何もしなくても2万増えるなら良いじゃないか!」と思うかもしれませんが、そうとは言い切れません。

物価上昇・インフレがあるからです。

同じ10年で物価が年2%ずつ上がったとすると、その102万円で買えるものは、今の 84万円分 しかありません。

通帳の数字は2万円増えているのに、買えるものは16万円分減っている。

これが「銀行に預けておけば安心」の正体です。

引き算するとわかりやすい

定期預金で毎年0.3%増えるけど、物価も2%上がる。

式にすると

0.3%‐2.0%=−1.7%

です。

毎年1.7〜1.9%ずつ、お金の価値は目減りしていくということです。

年利9.65%でも100年のインフレに追いつくのがやっとだったのに、0.1%では話になりません。

銀行に預けているお金は、金額としては減りません。通帳の数字は増えていきます。

でも、その数字で買えるものは、毎年確実に減っています。

治療家として、どう考えるか

「じゃあ投資しろってこと?」

そういう話ではありません。

確かに投資も大切ですが、ここではそういう話をしたいのではありません。

投資などについて学びたい方は、下記の書籍がオススメです。

いきなり株式や不動産の投資するのではなく、お金の基礎知識から学ぶことが絶対重要です。

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私が言いたいのは、目減りしない資産を持とう ということです。

そして治療家にとって、目減りしない資産はハッキリしています。

技術

10年前に身につけた技術は、10年経っても価値が下がりません。

むしろ経験値を積み上げることでレベルアップし、価値が上がります。

インフレで技術が目減りすることはありません。

むしろ物価が上がれば、料金を上げればいいだけです。

知識

本を1冊読んで得た知識は、生涯使えます。

しかも知識にも複利が効いてきます。

1冊読むと、次の1冊の理解が深まるということです。

10年前に学んだことに最新の知識を掛け合わせることで、計り知れない価値を生み出します。

幅広い知識を持つと業界全体が見えてくる。

これはインフレとは無関係に積み上がっていきます。

信頼

患者さんとの関係、地域での評判、紹介してもらえる関係性。

これも目減りしません。

むしろ時間をかけるほど太くなります。

これにも複利が効くでしょう。

稼ぐ力こそが最大のインフレ対策

結局のところ、治療家にとっての最強のインフレ対策は 稼ぐ力を上げること です。

物価が2%上がったなら、施術料を2%かそれ以上に上げればいい。

そのためには、値上げしても選ばれ続ける理由が必要です。

その理由をつくるのが、技術であり、知識であり、信頼です。

貯金を守ることに必死になるより、稼ぐ力を伸ばすほうがはるかに有意義です。

100年前の人は、年利9.65%という破格の条件でも、インフレを考慮すると意味があったかどうか?という感じでした。

私たちが年0.1%の定期預金でインフレに勝てるはずがありません。

お金を寝かせるのではなく、自分に投資する。

自己投資が最高の投資です。

いちばん確実で利回りのいい選択だと私は思っています。

まとめ

  • 明治33年に「1口1円→100年後に1万円」という定期預金が実在した
  • 年利に直すと約9.65%。現代ではありえない好条件
  • しかし100年で物価は3,000倍以上、賃金ベースでは2万倍以上に。
  • 額面が1万倍になっても、増えた分はインフレでほぼ相殺された
  • 今の定期預金は年0.1〜0.3%、物価上昇は年2%前後。毎年確実に目減りしている
  • 治療家にとって目減りしない資産は「技術」「知識」「信頼」
  • 最強のインフレ対策は、稼ぐ力を上げること

貯金通帳の数字を眺めている時間があるなら、本を1冊読んだほうがいい。

私はそう思って、今日も本を開いています。

※ 100年定期預金の話は、テレビ番組で紹介された内容をもとにしています。年利の数値については、100年で1万倍になる利率を計算し直したものを記載しました。

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