【スタート】〜治療家独立物語〜5 店舗に名前をつけよう

独立教科書

タルサロンsimple(西荻窪・三鷹)と上井草すまいる鍼灸整骨院を運営している鍼灸師・柔整師です。
このブログは治療家(鍼灸師・柔整師・あマ指師・整体師等)が成功するための情報を発信しています。
10年前に独立した時に「知っておきたかった!」「知らなくて損した・・・」という情報を、失敗も含めて包み隠さず出しています。

ストーリーで学ぶ独立開業をシリーズで書いています。

最初から読みたいと思ってくれた方はこちらよりお願いします。

私の知識と経験を全てまとめていきますので、読んでいただけると嬉しいです。

一緒に学んで成功に近づいていきましょう!

この章で学べること

・店舗名(治療院名)はわかりやすい、日常的な言葉を選ぶ。

・店舗名は自己満足にならない様にすることが大切。

・店舗名に地域名をつけると検索してもらいやすい。

・鍼灸師・あマ指師は出張する予定がなくても出張施術業務開始届を出しておく

再会

仕事を終えた瞬介は駅前で橘を待っていた。

『なんか緊張するな・・・橘さんが会わせたい人がいるから連れて来るって言ってたけど・・・』

なんか落ち着かない気持ちのまま待っていると、橘が一人の女性を連れて現れた。

「瞬介、おまたせ。こちらはスミレさん。瞬介と同じ鍼灸師で開業して自分の治療院を持っている先輩だよ」

「瞬介さん、はじめまして」

「あ、はじめまして。瞬介です。よろしくお願いします」

スミレさんはスラッとしていて、落ち着いた感じだけど笑顔が素敵な人だった。

「橘さんから瞬介さんの話を聞いてました。本気の若者がこれから開業していこうとしていると聞いたので、ぜひ会ってみたいと思って来ちゃいました」

「じゃあ早速行こう。いつもの居酒屋【チャンス】で良いよね。」

橘に促され3人は店舗へ向かい、席についた。

席についた瞬介は3人分の食事と飲み物を素早く注文し、早速相談し始めた。

名前を決める時に気をつけること

「レンタルサロンを決めていよいよ活動開始しました。今は出張施術という形だから出張施術業務開始届(*自治体により呼称は変わる)を個人名で登録してるだけで治療院名は決めてなくて・・・。治療院名候補はいくつか考えたんですが・・・」

「そうだね。今は自分の名前でSNSやホームページ作ってやってるみたいだけど、先々を見据えたら名前を決めて活動した方が良いよね。治療院を作るための出張施術だし。候補名はどんな感じ?」

瞬介は候補名をいくつか書いたメモを二人に見せた。

すぐに目を引くのが、アスクレピオス鍼灸院や暁雲堂鍼灸院といった名前だった。

それを見たスミレが呟いた。

「アスクレピオスとか暁雲堂はギョウウンドウって読むのかしら?なんか難しい名前ね。どういう意味なのかしら?」

「はい。アスクレピオスはギリシャ神話の医術の神の名前です。アスクレピオスの杖で有名です。あと暁雲というのは夜明けの雲って意味で縁起が良いとされているもので・・・」

そこまで聞いて、普段は最後まで話を聞く橘も我慢できず口を挟んだ。

「いやいやちょっと待て瞬介、アスクレピオスの杖で有名って言われても一般人には伝わらないよ。それに暁雲堂も縁起が良いのかもしれないけど、あまりピンとこないな

橘に指摘されて瞬介は正直痛いところを突かれた感じがした。

「なんか他と差別化するにはかっこいい名前が良いかなと思って・・・」

「確かに名前はかっこいいけど、この名前では覚えるのも大変だよ。アスクレピオスなんて字を見てても読み間違えそうだ。アスクピレオス?アクスピオレス??みたいに」

そこでいたたまれなくなったスミレが瞬介に助け舟を出してくれた。

「でもわかるわ。私も最初はかっこいい名前を付けたいなって思ってた。治療院名がかっこいいと威厳がある感じがするし」

「そうなんです。なんかすごそうな名前だと患者さんも来てくれるかな?って思ったんです」

落ち着きを取り戻した橘も優しく話し出した。

「なるほど確かにそういうこともあるかもしれないね。でもまず覚えられないと意味がないよ。これらの名前だと検索するのにも大変だ。暁雲堂は漢字が違ったら検索しても出てこないし、アスクレピオスうろ覚えでは検索する気もなくなってしまうからね

「そうね。私も最終的には覚えてもらいやすい名前で開業したわ」

「どんな名前にしたんですか?」

「私のところは【smile鍼灸院】にしたの。スマイルって覚えやすいでしょ、小学生でも日常会話でも使うくらい。あとsmileってスミレとも読めるでしょ」

「あ〜。確かに」

日常でsmileって見たり聞いたりした時に思い出してもらえるかもしれないなという気持ちもあってね。あともちろんみんなに笑顔になってもらいたいという思いもあるよ」

「あとはスミレさんの名前も覚えてもらえますね😄」

瞬介の言葉にみんな笑顔になった。

「そうね。だから私もわかりやすい名前にした方がいいと思うわね」

それを聞いていた橘が一言呟いた。

「この最後にあるスタートライン鍼灸院なんて良いんじゃない?」

「そうですか?最後に苦し紛れに出した名前なんですが・・・自分がやっとスタートラインに立ったなって思いながら書きました・・」

「良いじゃん。初心を忘れないようにするためにもいいと思うよ」

橘の意見にスミレも同感のようだ。

「そうね。私もいいと思う。患者さんにとっても【ココが健康へのスタートライン】って感じでイメージできるし」

「あと実際に開業することになったら、名前に最寄り駅や目印になる地名などを付けておいたほうが良いね。東京だと駅名が良いと思うよ。車社会のエリアなら目印になる地名になるね。多くの人が治療院を探す時には自分の行動範囲で検索することが多いからね」

橘の言葉を聞いて瞬介は納得した。

確かに前に勤務していた治療院でもネットで検索して来た方は多かったし、地元で探していたと言っていた人も多かった。

「じゃあ今は西荻窪のレンタルサロンをメインにする予定なので、西荻窪スタートライン鍼灸サロンという名前でスタートして、開業するときは西荻窪で始めるなら西荻窪スタートライン鍼灸院にする感じですね」

「そうだね、スタートライン西荻窪鍼灸院とかでも良いけどね」

橘の意見を感心して聞いていたスミレも一言加えた。

「いいわね。レンタルサロンで開業して軌道に乗ったら、店舗を作るならリスクは少ないし、レンタルサロン時代から同じ名前で店舗を作ったら同じ店だってすぐ気付いてもらえるわね」

「そうですね。ずっと来てくれている人には店舗作る時にお知らせできますが、来なくなった人が久しぶりに治療を受けようとした時とか名前が変わってたら見つけられないですからね」

その言葉を聞いて橘は感心しながら話した。

「そうだね。すべての顧客がずっと来てくれるわけじゃないからね。たまに来る人のことも考えられるなんて、瞬介も経営者らしくなってきたじゃないか(笑)」

「ありがとうございます!ってそれは褒めてくれてるんですよね(笑)」

こうして瞬介の治療院名がスタートライン鍼灸院に決まった。

レンタルサロンで開業するときは将来の治療院名も考えておいて、同じ名前で始めた方が先々につながるということを知り、瞬介はワクワクしていた。

「あと鍼灸施術するなら、出張施術業務開始届を出しておく必要があるのは知ってるよね。あマ指師もそうだけど」

「あ、それ気になってたんですよね。杉並区保健所のサイトには出張のみで開業する場合ってあったから、どうしたら良いかわからなくて」

あん摩マツサージ指圧師、はり師及びきゆう師が専ら出張のみによって施術業務を行う場合、出張施術業務開始届を業務開始後10日以内に保健所へ提出してください。

杉並区ホームページより

「出張施術の届け出を出したら店舗を作れないなんてことは無いから安心して大丈夫。私も免許取ったらすぐに出張施術業務開始届を出したわ。結局出張施術は一度もしなかったけど、出しておいて損はないわよ」

「店舗を開業した時には出張届を取り下げたりするんですか?」

「それもしてないわね。今も出張届出したまま。でも心配だったら、保健所に確認しておくといいわね。管轄の保健所や担当者によっても変わるかもしれないから」

心強い仲間に支えられ、瞬介は幸せを感じていた。

「少し先行く先輩に教わるのが一番だっていうのは本当だったんだな〜」

心のなかでつぶやいた。

まとめ

・店舗名(治療院名)はわかりやすい、日常的な言葉を選ぶ。

・店舗名は自己満足にならない様にすることが大切。

・店舗名に地域名をつけると検索してもらいやすい。

・鍼灸師・あマ指師は出張する予定がなくても出張施術業務開始届を出しておく

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